種類 | 猫 |
年齢 | 全年齢 |
診療科目 | 泌尿器科 |
症状 | 腎臓病 |
ふじわら動物病院
院長の藤原光宏です。(プロフィールはこちら)
腎臓病は猫に多くみられる病気で、
特に高齢の猫に多く発生するんだ。
全年齢を通しても、泌尿器系疾患は猫ちゃんに非常に多い病気だというのが
ペット保険アニコムのデータからも明らかになっています。
参照元:アニコム どうぶつの疾患統計
腎臓病には、大きく2つ
1.慢性腎臓病
2.急性腎臓病
があって、
特に高齢の猫がなりやすいのは、
慢性腎臓病。
気づかないうちに徐々に症状が進行していくのが慢性腎臓病。
※急性腎臓病についてはまた別の記事で詳しく解説しますね。
東洋医学では、
腎臓は体温がオーバーヒートしないように
見張ってる臓器で体を適度な温度に温める働きがある。
体が冷えてくると・・・
・血液の循環が悪くなる
・免疫力が低下する
・臓器が正常に機能しなくなる
・水分が滞る
といった症状が出るんだよね。
冷えは万病の元というように、
体中でいろんな障害が起こってくるから
腎臓病が進行すると体中でいろんな障害が複合的に起こってくる可能性があるね。
そんな時は西洋医学や、東洋医学では鍼灸などで体をあたためたりするんだけど、
そのあたりのことは、ブログの方で書いてるから
興味がある人は読んでみてね。
>動物が腎臓が悪くなると体が冷える
猫は体調が悪くなっても、弱ったところを見せない動物なので
気づいた時には手遅れということが多くあるね。
慢性腎臓病にはステージ1~ステージ4に分類されるんだけど、
ステージごとの細かいところはまた別で記事を書いていくね。
■腎臓病になる原因
はっきりした原因はわかっていません。
猫ちゃんの場合、ワンちゃんと比べて腎臓病にかかる子の割合が多いね。
特に7歳以上のシニアになると、シニア猫の30~40%は腎臓病にかかっていると言われているよ。
人間の腎臓病の原因は、
・塩分の取りすぎ
・糖尿病
などが知られているけど、
猫ちゃんの場合は、総合栄養食などを食べて規則正しい生活をしていても腎臓病になることもある。
猫はもともと砂漠で生活していた動物なので、水分を有効活用するために
なるべく尿を濃縮して体外に排出しようとする傾向があるんだ。
それが原因で腎臓に負担をかけるために、犬よりも腎臓病にかかりやすいのではないか
とも言われているんだけど、本当のところはよくわかってない。
■腎臓病の症状、兆候
猫の腎臓病の特徴は、気づいた時には症状がかなり進行しているのが特徴だね。
腎臓の機能は、体の中の老廃物を取り除いておしっことして体外に排出したり、体内の水分バランスを整える役割があります。
腎臓病の初期に見られる症状としては、
・大量の水を飲むようになる
というもの。
そこに付随して
・おしっこの量が増える
・おしっこが薄くなり、ニオイがしなくなる
という現象も見られるようになるね。
こういった現象が続くと、排泄されるはずの老廃物や毒素が体内に蓄積されてしまうので、嘔吐をしたり、口臭がきつくなったりもする。
このような症状が出てから、異常に気づき動物病院へ来院する飼い主様が多いんだけど、この時点では症状はかなり進行してしまっている・・・
腎臓機能の50%~75%程度が失われていることが多いね。
他にも猫の腎臓病でよくみられる症状としては、以下のものがあります。
猫ちゃんがいつもと違うなと感じたら、まずは動物病院で相談してみましょう。
1.食欲がない
2.よく水を飲む
3.嘔吐・下痢をする
4.元気がない
5.痩せてきた
6.尿の回数が異常に増えた
7.排尿が回数が明らかに減った
8.毛づやが悪くなった
9.体重の減少
10.息が臭い
11.弱っている
12.動くことが少なくなった
13.睡眠量が増えた
腎臓病が末期症状になってくると、
腎臓で毒素を尿として排出できなくなって、
そうすると毒素が全身に回っちゃうんだ。
体中にたまった毒素が、悪さをして
いろんな臓器にダメージを与えることで、
多臓器不全になっていく。
腎臓がどうしょうもない状態になると
・人工透析を受ける
・腎臓を移植する
という手段しかなくなってしまう。
食欲がなくなったり、
吐いたり
見た目にもやつれてしまって・・・
それでいて腎臓は再生しないんだから
見てる飼い主様はつらいよね。
だから腎臓病は早いうちに異常を見つけてほしいんだ。
見た目には出にくいから、定期的な健康診断をやって
早くから異常を見つけられる環境にしてほしい!
というのが私からのお願いです。
■腎臓病の予防法
実は腎臓病の予防にはこれをやっておけば大丈夫!
という予防法はないんだよね。
でも、腎臓病になりにくくするためには、
・若いうちから腎臓に負担をかけないよう心掛ける事
・1年に1回は健康診断を受けて、定期的な健康状態チェックをすること
が大切にはなってくる。
定期的な健康診断をすることで、早期に腎臓機能の数値異常が見つかることもある。
腎臓病の早期発見ができれば、進行を遅らせる治療をすることが可能だから、今健康だから大丈夫!
じゃあなくて、定期的に健康診断を受けて欲しいっていうのが、お願いです。
特に7歳以上の猫ちゃんは、腎臓病になりやすいので、
最低でも年に1回は健康診断(尿検査)を受けてほしいな。
腎臓に負担をかけない方法は、
・良質な猫用総合栄養食を与える事
・新鮮な水をたくさん飲める工夫をする事
・おやつは控えめに
の3つを意識する事。
また
歯肉口内炎があると、慢性腎臓病になりやすいことがわかっているので、
デンタルケアは日ごろから行おう。
■治療法
腎臓病になって、腎機能が低下してしまうと、
残念ながら腎機能を回復させる方法は基本ないんだ。
腎臓は再生できない臓器なんだよね。
慢性腎臓病で特に大事なのは、
残された腎機能を壊さずに、いかに大切に長く使っていくか
という事!
慢性腎臓病にはグレード1~4があると書いたけど
グレードによって治療法は異なってくる。
腎臓病でも初期段階であれば、
・食事療法
・水分補給
が最も重要な治療になってくるね。
※なかなかお水を飲んでくれない子のために、
猫ちゃんがお水を飲んでくれるようになる方法 を書いていますのでこちらの記事もどうぞ
●食事療法
タンパク質、リン、ナトリウムは腎臓に負担をかけることが知られています。
これらを制限したうえで必要なカロリーを摂取することができる
慢性腎臓病用の療法食
が最適。
慢性腎臓病用の手作りレシピなども後で記事にしてみようかと思います。
猫ちゃんの場合、ワンちゃんと比べて食事の好みが強くでるため
療法食を食べてくれないケースも見受けられる。
最近では、各メーカーから慢性腎臓病用の療法食が色々な種類で発売をされているので、
・ドライタイプ
・ウェットタイプ
・味が異なるもの
など、好みのタイプをいろいろと試してもらうのがいいと思う。
療法食を探す際は、必ず主治医と相談してね。
●水分補給
新鮮な水をたくさん飲んでもらえる環境を整えましょう。
食事に水を混ぜて食事と一緒に水を食べるようにするのもいいね。
ドライフードだったらふやかしたり、ウェットフードだったら更に水を加えたりして
水分を増やすようにします。
どうしても飲んでくれない場合は
輸液療法(皮下輸液、静脈輸液)
という方法もある。
どうしても水を飲んでくれない場合は、かかりつけの獣医師に早めに相談をしようね。
【猫ちゃんの腎臓病に関する関連記事はこちら】
>【現役獣医が解説】猫の腎臓病を早期発見するためにはどうしたらいいのか?
>【現役獣医が解説】猫の腎臓病と水分の関係
>腎臓病の猫ちゃんの食事について
>猫ちゃんの腎臓病と口臭について