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ふじわら動物病院
院長の藤原光宏です。(プロフィールはこちら)
今回は腎臓病になってしまった猫ちゃんの食事についての話をしていきたいと思います。
慢性腎臓病になると、
・痩せてきたり
・毛づやが悪くなってきたり
・食欲がなくなったり
と見た目もわかるようになってくるので、
・何とかしたい!
・少しでも食べて欲しい
・少しでも症状を改善したい
と思う飼主様も多いかと思います。
慢性腎臓病に置いて、食事制限は最も基本的で、最も重要な治療法の1つです。
インターネットで検索すると、色々なフードメーカーなどが腎臓病になってしまった猫ちゃんに必要な栄養素や、制限しないといけない栄養素などの情報がたくさんでてきます。
しかし、特定の栄養素を取ればいい、制限すればいいというものではなく、
必要な栄養素を必要なだけ摂取すること
が重要になります。
各栄養素は、多すぎても少なすぎても体へは悪影響がでるのです。
ネットに書いてある情報だけを信じて、安易に療法食をきめないでください。
かかりつけの病院の先生と相談をして腎臓病用の療法食へ切り替えることが大切です。
■慢性腎臓病の猫に与えてはいけない栄養素
・リン
・タンパク質
【リン】
リンは元々、骨や歯、細胞を作るために必要な栄養素で体にとって重要な栄養素です。
しかし、慢性腎臓病により腎機能が低下すると、余分なリンを体内から排出できなくなり、腎臓へダメージを与えることで、腎臓病の症状が進行していくことが知られています。
リンの摂取を制限した療法食にすることで、生存期間が長くなるということは証明されていますので、まずは、この「リン」を制限した食生活にすることが重要です。
リンを制限した食事をした猫ちゃんの場合、
リンの食事制限をしない猫ちゃんに比べて、およそ3倍も長生きしたというデータが
「リン」を制限することで、腎臓へのダメージを抑えることが可能です。
【タンパク質】
腎臓へのダメージを抑えるために、リンと同じくタンパク質も制限しなくてはいけません。
体に必要な分のタンパク質を摂取することは必要ですし、問題はありませんが、必要以上に過剰なタンパク質を摂取してしまう事は、尿毒症を発症させることになります。
尿毒症は、過剰な食物タンパク質を分解するときに発生します。
普段食べているフードの栄養素で過剰なタンパク質が含まれている場合は、体内で使用しきれなかった分のタンパク質が分解され有毒物が生成されてしまうのです。
しかし、腎臓病が進行して食欲不振になるとエネルギー不足となる。
そこで体は筋肉などのタンパク質を分解してエネルギーを作るため、尿毒症が進行してしまう可能性がります。
食欲不振の場合は、エネルギー不足にならないように注意をしてあげる事も重要です。
食欲不振になると、エネルギーを体内で作ろうとしてタンパク質である筋肉を分解し始めてしまいます。
これは明らかに体に良くない事ですので食事制限も大切ですが、まずはいかに食べてもらうかという事も念頭に置かなくてはいけません。
猫は元々肉食のため、猫が必要とするタンパク質(アミノ酸)は肉に含まれています。
ですので、炭水化物ではなく、肉がベースのフードを選ぶ必要があります。
水分量が多く、高品質なタンパク質が必要量だけ摂取できる食事が理想です。
■腎臓病の猫に与えるといいもの
・EPA/DHA
・食物繊維
【EPA/DHA】
オメガ3脂肪酸と呼ばれるものです。
抗酸化作用があり、腎臓を保護してくれる栄養素です。
腎臓病になる前から与えておくと予防につながると言われます。
オメガ3脂肪酸を含む代表的な食材としては、
・イワシ
・マグロ
・くるみ
・アーモンド
・亜麻仁油
・エゴマ油
などがあります。
【食物繊維】
慢性腎臓病では、便秘を併発することがあるが、便秘の改善に食物繊維は有効です。
【カリウム】
多すぎても少なすぎてもいけない栄養素です。
カリウムが少なすぎると、低カリウム血症になります。
カリウムが多すぎると、高カリウム血症になります。
サプリなども販売されています。
■食欲がないときには?
食欲がない場合には、療法食を与える時に3~4回に分けて少しずつ与えてみてください。
38~39度くらいに温めて与えると、より食べてくれやすくなりますので試してみて下さい。
猫は食事の変更をするのが難しい動物です。
まずは少しでも食べてくれるような工夫をしていきましょう。
飼主様の中には、ネットで腎臓病用の手作りフードレシピなどを探して
自分で作ってみよう!
とする方もいるかもしれませんが、食事療法は栄養素のバランスが大切ですので
まずはかかりつけの獣医に相談してからにしたほうがいいでしょう。
手作りフードについては、飼主様からよく質問をされるキーワードですので、
後日記事をアップしていこうと思います。
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