種類 | 猫 |
年齢 | 全年齢 |
診療科目 | 泌尿器科 |
症状 | 腎臓病 |
ふじわら動物病院
院長の藤原光宏です。(プロフィールはこちら)
猫ちゃんが慢性腎臓病になって進行して悪くなるとだんだん食べなくなって食欲不振になることが多いですね。
最初のうちは腎臓病用の療法食を食べていても、腎臓が悪くなっていくと食べなくなりますね。
猫ちゃんの場合は、最初っから療法食を食べない子も多いです。
腎臓が悪くなっていくと体の中の毒素を腎臓から排泄できなくなって、体の中に毒素が溜まっていきます。
毒素が溜まっていくと気持ち悪くなったり、口の中の粘膜や食道、胃、腸の粘膜がただれていくことで
食欲不振になります。
点滴をしたり、内服を飲んだりして毒素を体の外に出すよう治療をしますが、
それでも毒素が体の中に溜まってしまう毒素によって食べなくなってしまいます。
飼主さんとしてはなんとか食べてほしいと思うので、手を変え品を変えていろいろやってみるけど
食べないことが多くなります。
最終的には、食べないよりは、何でもいいので食べてくれるものを食べさせて
もらうようになったり
流動食を少しずつ飲ませるような形で食事のケアをするようになります。
慢性腎臓病が進行して食べが悪くなった時に対処法をご紹介いたします。
■飽きないように療法食を食べ続けるには
腎臓用の療法食を食べ飽きる猫ちゃんは多いです。
味や食感を変えたものを食べてる時に変えて、飽きないようにする工夫をします。
腎臓用の療法食のなかには、同じ療法食でもフレーバーが違って味が違うもの、ドライフード、缶詰フード、パウチフードなど選べるものが増えています。
猫が食べてる時に変えるのがポイントになります。
食べなくなってから変えるとすぐに食べなくなってまた変えなくてはいけないことが多くなるので、食べてる時に変えるようにして飽きさせないようにします。
■匂いが出るようにフードを温めてみる
フードを温めると匂いが出やすくなります。
お湯をかけて温めたり、電子レンジでチンして温める方法があります。
37℃~38℃程度に温めてみましょう。
匂いをきつくすると食べる子もいます。
■保存方法を変えてみましょう
ドライフードに含まれる脂肪が酸化すると、酸化臭によって食べが悪くなることがあります。
ドライフードは湿気の少ない冷暗所で保存するようにしましょう。
タッパーに小分けにして、冷蔵庫や冷凍庫で保存するようにしてあげる時に電子レンジでチンして温めてからあげるようにします。
そうすると酸化臭を防ぐことができます。
■ペットフードの食感を変えてみましょう
ドライフードをお湯でふやかすことで食感が変わって食べるようになったり、
また水分が多くなることで食べるようになる子もいます。
ドライフードをあげているようなら缶詰フードやパウチタイプなどのウェットフードに変えてみましょう。
■食事の環境を変えてみましょう
落ち着いて食べられる環境に食器を置くようにしてみましょう。
猫が食事・排出・休憩をストレスなく行うには、それぞれの領域に最低50cmの距離が必要です。
トイレと食事をする場所が近かったり、他の猫に邪魔をされたりするようであれば
食事の環境を変えてみましょう。
■手作り食をあげてみる
ドライフードや缶詰フード、パウチタイプなどをたべなくなった時は手作り食をあげるもの1つの方法になります。
手作り食は栄養の問題やバランスの問題なと難しいこともあるのですが、
食べないよりは食べることを優先したいので肉や魚、野菜などを使った手作り食をやってみて、
食べるかどうかみるのもいいと思います。
〇慢性腎臓病のタンパク質制限
慢性腎臓病は、タンパク質を制限した方がいいと一般的には言われています。
確かにタンパク質を制限した療法食を食べることで生存率はよくなります。
ただ、食べればと言うのが前提になりますので、食べない療法食はどうにもなりません。
食べない時に鶏肉なら食べる、魚なら食べるならそれをあげてもいいと思います。
猫は、肉食動物ですので、犬よりもタンパク質は必要になります。
そこまで、タンパク質制限に厳密になる必要はないと思っています。
■まとめ
猫の慢性腎臓病の末期になってくると食べなくなるので、ドライフードを缶詰やパウチタイプに変更してみたり、
温めて匂いを出したり、場所などの工夫をしてみましょう。
ちゅーるは食べてくれることが多いです。
それでも食べない時は、食べることを優先してタンパク質制限なんて気にしないで食べるものをあげましょう。