緩和ケア

緩和ケアとは

緩和ケアは、治療不可能で生命を脅かす状態にあるわんちゃん・ねこちゃんを可能な限り快適にし、生涯の終わりに近づくにつれて生活の質を向上、もしくは維持させることに重点を置いた獣医療です。寝たきりの高齢期や、がんや腎不全などの病気の最終段階に入っている場合であっても、緩和ケアは痛みや吐き気などの症状を適切に管理し、可能な限り生活の質を高く保ち伸ばすことに焦点を当てます。 これには薬物療法、ホモトキシコロジー、漢方、レーザー治療などの院内治療に加え、皮下輸液の投与、温熱療法、マッサージなどが含まれます。わんちゃん・ねこちゃんが住み慣れた環境で快適に暮らしていくために、なるべく多くのことは飼主様の協力のもとに在宅ケアを通じて行います。
緩和ケアの対象となる病気はいくつかあります。主にがん、慢性腎臓病、慢性の関節症とそれに伴う関節痛、うっ血性心疾患などが対象です。 これらの病気が診断され、末期症状に近づき命に限りが見えてきたとき、あるいは治癒を望む治療をしないと決めた時、もしくは病気の治療中であってもその進行によって日常生活に支障をきたすことが明らかな時に、緩和ケアを実施します。

緩和ケアにおける3つの柱

1.疼痛管理(痛みのコントロール)

緩和ケアにおいて、我々が最も重要視しているのが疼痛管理です。当院では、その子の状態に合わせて一般的な鎮痛薬を処方するほか、激しい痛みを伴うケースでは医療用麻薬を使用した高度な疼痛管理も行っています。 わんちゃん・ねこちゃんは本能的に痛みを隠す習性があり、人間のように泣き叫んで痛みを訴えることはほとんどありません。「最近よく寝ている」「散歩に行きたがらない」「遊びたがらない」といった行動の変化は、単なる老化ではなく、痛みのサインである可能性があります。鎮痛剤で痛みを取り除くことで、表情が明るくなり、穏やかな日常を取り戻せることも少なくありません。わずかな変化も見逃さず、積極的なケアを行うことが生活の質を向上する第一歩です。

2.快適な生活環境の維持

身体機能が低下した動物たちがストレスなく過ごすためには、自宅の環境を見直すことも立派な治療の一つです。清潔で適温に保たれた寝床を用意し、そこから無理なく移動できる範囲に食事、水、トイレを配置しましょう。 特に関節症や足腰の弱った高齢に動物とって、階段の上り下りや滑りやすい床は大きな負担となります。生活に必要なものを全て同じ階にまとめ、移動の苦痛を減らす工夫が必要です。鎮痛剤によって痛みが和らいでいるとしても、関節などの病変が治癒したわけではありません。適度な運動ができて、安心して休息できる環境を整えてあげてください。

3.食事管理と栄養サポート

病気が進行すると消化機能や食欲が低下してきますが、この時期の食事は栄養バランスよりも食べてくれるかどうかを最優先に考えます。フードを人肌に温めて香りを立てたり、好物の肉類や高カロリーフードを混ぜたりと、その時々で喜んで食べるものを与えてあげてください。毎日の食事量を記録し、獣医師と共有していただくことで、より適切なアドバイスが可能になります。