ネコちゃんは、年齢に関係なく病気になってからのご来院が多いのが実情です。
日々の予防や定期的なご来院で、病気の早期発見・早期治療を行うことができます。ちょっとしたことでも、是非ご来院いただきご相談ください。
気をつけたいこと
下記の項目を行うことで、「病気の早期発見・治療」を行いましょう。
猫ちゃんのための小冊子ができました!!
当院が参加している勉強会のメンバーと協力して、ネコちゃんのための小冊子を作成しました。
病気の予防から、飼い方の情報など、獣医師たちが、飼い主様に知っていただきたい内容を話し合って作成した力作です。
病院で配布していますので、ご来院の際にお尋ねください。
年間の予防スケジュール
1.混合ワクチン接種
現在、混合ワクチンは最大でネコちゃんは3種の感染症が予防が可能です。
感染症の中には単独感染(たくさんの病気に一度にかかるのではなく、一つの病気に感染すること)で死亡率が高いものもあります。必ず毎年1回の接種をしてあげてください。初年度は合計で3回の接種が必要です。
予防できる病気 | 3種ワクチン |
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猫ウイルス性鼻気管炎 | ◎ |
猫カリシウイルス感染症 | ◎ |
猫汎白血球減少症 | ◎ |
2.ノミ・ダニ・フィラリア予防
ネコちゃんにノミ・ダニが感染すると、皮膚炎やバベシア症などを引き起こします。また、人間もさします。特に、ノミは人獣共通感染症(ズーノーシス)である猫ひっかき病を媒介します。ダニはライム病を媒介します。「今はついていないから・・・」ではなく、「つかないように」予防してあげましょう。
フィラリア予防について
フィラリアはワンちゃんしか感染しないと思っている飼主様もおられますが、ネコちゃんも感染する病気です。特に、心臓の小さいネコちゃんは感染すると重篤な状態になることが多いため注意が必要です。
当院では、ノミ予防、ダニ予防、フィラリア予防をまとめて1本で予防できるお薬をお勧めしています。しっかりと予防してあげてください。
1.尿検査(室内猫:年1回 室外猫:年2回)
秋から冬の間に猫ちゃんは尿路系の病気が多くなることをご存じでしょうか?
また、猫の死亡要因の一番は腎不全だと言われています。尿検査の目的は、目に見えない体の異常をいち早く見つけることです。オシッコの病気の多いネコちゃんは年間2回程度の検査をお願いします。
尿検査で分かること
①尿PH値 | 尿路結石・細菌感染 など |
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②尿ビリルビン | 肝臓疾患・胆道疾患・黄疸 など |
③尿糖 | 糖尿病・急性膵炎・クッシング症候群 など |
④尿せん血 | 膀胱炎・尿道炎・尿路結石・前立腺炎・腎炎 など |
⑤尿タンパク | 腎臓疾患・尿路の異常 など |
⑥尿比重 | 腎臓疾患・尿崩症 など |
2.ウイルス検査について(室内猫:年1回 室外猫:年2回)
ネコちゃんのウイルス検査には、①猫免疫不全ウイルス(FIV)抗体検査と、②猫白血病ウイルス(Felv)抗体検査の2種類があります。
以下の様な子はしておくと安心です。
検査可能な時期
猫免疫不全ウイルス(FIV)抗体検査 | 生後5か月齢、又は感染の可能性のある1か月後から。 |
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猫白血病ウイルス(Felv)抗体検査 | 感染の可能性がある1週間後と1か月の2回検査するとより確実です。 感染の可能性があるとわかった時とその1か月後の2回行うと安心です。 |
猫免疫不全ウイルス(FIV)とは?
一般的には〝猫エイズ〟と呼ばれている病気です。
母子感染はほとんどなく、主に感染猫とのケンカによる咬傷などから感染する病気です。もちろん人間には感染しません。
発症すると発熱、下痢、鼻水、口内炎、リンパ腺の腫れなどが見られ、終末期には免疫機能が重度に低下し、感染症や、貧血、悪性腫瘍などにより死に至ります。
猫白血病ウイルス(Felv)とは?
このウイルスは唾液中に多く存在するウイルスです。
そのため、Felv陽性の猫と〝仲良し〟の子ほど感染しやすく、グルーミング、食器の共有、尿、涙液、母乳、血液、咬傷などが感染源になります。
発症すると、元気がなくなり、発熱、下痢、鼻水、白血病の減少、血小板の減少、貧血、リンパ腫などの症状が出て、死致率の高い病気です。
ネコちゃんが中高年期を迎えると、ホルモンのバランスがくずれ、色々な病気(子宮蓄膿症、乳腺腫瘍、卵巣腫瘍、等々)を発症します。
特に乳腺腫瘍の8割は悪性のガンとなりますので、注意が必要です。女の子なら初潮を迎える前に、男の子なら性交を経験する前に避妊・去勢手術をすることで発症確率がかなり低下します。また、時期や状態によっては攻撃性の性格や尿マーキングなどの問題行動を減らすこともあります。繁殖を望まない場合は行ってあげたほうがいいでしょう。ご家族でしっかりご相談ください。
1.食事管理
①急成長期(2カ月~6カ月)
子猫は生後約1ヶ月で離乳が可能になります。その後、生後6カ月までは急成長期に入ります。急激な成長を支えるために、バランスのとれた高栄養食が必要になります。(理想的には1日3~4回の食事回数。
②穏やかな成長期(6カ月~12カ月)
子猫は成猫のサイズに近づくにつれ、必要な栄養も変わってきます。食事の回数は減りますが、1日に食べる量は増えます。
③成猫用フードへの切り替え
生後12カ月以上になったら、成猫用フードに切り替えてください。この頃になると仔猫用フードのような高カロリー・高栄養を必要としなくなります。徐々に切り替えていってあげると良いでしょう。
④老齢用フードへの切り替え
高齢のネコちゃんは若いころに比べると、運動量が落ち、筋力の低下によって基礎代謝も落ちるため、必要なカロリー数も異なります。そのため、老化によって変化するネコちゃんの健康状態に合わせて、栄養面を調整されている老齢用のフードをあげることをお勧めします。
2.環境作り
①生活空間
ネコちゃんはワンちゃんと異なり、タンスの上など三次元的に行動範囲があります。
ですので、猫の場合は広さだけでなく、高さも考えて安らぎと静かさを求めて退避する場所を確保してあげる必要があります。また、外出自由にしてしまうと交通事故や喧嘩による感染症などの健康に関わる危険がいっぱい増えてしまいます。できれば、お家の中だけで飼うことをお勧めします。
小さい頃からお家の中だけであれば、ストレスに感じることはありません
②トイレ
子猫は仔犬のように、トイレのトレーニングを必要としません。
したがって仔猫のトイレの失敗は適切にトイレの準備をしなかった場合に多く起こります。ネコが納得できる場所にトイレを設置し、24時間使えるようにしましょう。
③爪とぎ
猫は古く緩んだ爪をはがすために、爪とぎをします。小さな時から爪とぎ専用のボードなどを用意すれば、家具などで爪とぎをしてしまうなどで困ることはありません。